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謎の老夫婦

うさぎさんのお遍路道中記

作成日:2014年06月19日 訪問日:2014年04月24日
66番札所 巨鼇山雲辺寺


昨夜は、増田さんご夫婦のご好意で、一晩泊めていただき手厚いお接待を受けた。
お母さんから
「山道は遍路仲間と一緒の方が安心だから、朝食を5時にして早目に登山口へ向かいましょう。」
指令を受け就寝し、今朝は午前4時に起床した。
眠い目を擦りながらザックに荷物を詰め込む。
朝食も栄養豊富に、いろいろ工夫してくださっていた。

午前5時40分、お父さんの車に乗り込み増田家を出発。
昨日歩いた民宿岡田さん前には午前6時10分に到着した。
ザックを担ぎ菅笠を被ると、お母さんが、私の菅笠の紐や白衣を整えながら、
「気を付けて行くのよ。」
とても心配そうに言ってくださったので、泣きそうになるのを堪えるのが大変だった。
記念写真を撮り、お母さんとハグ、お父さんと握手してお別れすることになった。
深く一礼し、いよいよ雲辺寺登山口へ向かう。
時折振り返り、何度も手を振った。
お二人の温かいお接待の数々に、感謝の気持ちで胸がいっぱいになり、
この先も最後まで頑張ろうと心に誓った。

午前6時半、雲辺寺アタック開始だ。
急な上り坂を、うんしょ、うんしょ、と頑張って登ると先ず見えるのは高速道路。
ここから遍路道は本格的な山道へと入って行くのだ。
木々が生い茂る暗い山道を登り始める。
少し上がった所に水色の自転車が置いてあった。
何故にこんな急な山道に自転車が、、、不思議である。
この後、本当に不思議な体験をすることになる。

自転車横を通過すると、前方に男女二人の姿が見えた。
お二人はかなり年配のご夫婦のようだった。
直ぐに追い付くと、後方を歩いていた女性がか細い声で
「どうぞ、お先に。」
道を譲ってくださった。
朝の挨拶と、譲ってくださったお礼だけ言い、先に進む。
その先に居た男性も同じく譲ってくださった。
しばらく登って考えた。
昨日、車で伊予三島に引き返す時、境目トンネル辺りで倒れそうになりながら男性の後ろを歩く女性が居た。かなり年配のご夫婦のようだった。
いま抜かしてきたご夫婦、昨日の二人だったのでは、、、。
女性は昨日の炎天下、かなりフラフラした足取りで、今にも倒れそうだった。
今日はキツイ登りの山道、体力が持つだろうか、、、。
考えれば考えるほど心配になった。
追い越し、登り始めて20分は経っただろうか、頭からお二人の姿が離れない。
やはり、放っては進めない。
私が行って何か出来る訳では無いが、せめて女性のザックだけでも運ばせてもらおう。
少し広い場所を見つけ、全ての荷物を置き、お二人の元に向け走り出した。

すると中年の女性が登ってきた。
先ほどの女性かと思い話しかけると、初対面だと言われた。
確かに男性の姿は無く、一人歩き遍路だった。
ご夫婦を見かけたか聞くと、知らないと言う。
更に下ると男性二人に会ったので、聞くとご夫婦を見ていないと言う。
更に下って行くと男性三人に会ったが、見ていない。
おかしい。
変だ。
誰も見ていないと言うではないか。
しばらく下って行くと、ダンディ水谷さんと東京の男性に会った。
事の次第を話すと、宿を7時に出発したが、そんな二人連れは見ていないと言う、、、背筋がゾクゾクっとなった。
私が登山口に入ったのは6時半、少し登った自転車放置の所で会ったはず。
その後登って来た人達が誰も知らないだなんて、怖すぎる。
「やだやだやだー!!」
悲鳴を上げた。
両手で耳を塞ぎながら、皆でザックの所まで戻った。
最初に会った女性がザックの所で待って居てくださり、
「会えなかったの?あなた、ずいぶん上から下りたのね。凄いわ。」
なんと、自分でも気付かなかったが、ザックを下ろした場所は、雲辺寺まであと一息の林道の直ぐ近くだったのだ。
私が尋ねた人達がひと塊りになり、一緒に雲辺寺へ向かう。
皆が、幽霊でも見たのではないか、助けに行くかお大師様に試されたのではないか、ご利益があるとかないとか話し出す。
幽霊だったのかも、そう思うと、
「いやー、もう言わないでくだされ?!」
誰かが面白がってまた話そうとすると
「わー!わー!わー!」
と大声を出して話を遮った。
しばらく両手で耳を塞いで半泣きになりながら歩いた。
あまりの恐怖に、雲辺寺に着くと下痢になった。
私は臆病で、胃腸が弱いのだ。

午前8時半、無事66番札所雲辺寺に到着すると、「おたのみなす」の前でバンザイをして写真を撮り、無事登頂したことを増田さんご夫婦にメールした。
本堂では家内安全、大師堂では増田さんご夫婦の無病息災と、お遍路仲間のこれからの旅の安全を祈願した。
そして、幻だったかもしれない老夫婦の旅の安全も怖いけど祈願した。
納経を無事終えると、御守りを皆で見て回り、私は茄子の形をした交通安全守りを夫に買った。

難所を打ち終え安堵していると
「大師堂の向こうに毘沙門天の塔があるから見に行こう。」
ダンディ水谷さんに誘われた。
東京の優しい男性と三人で上がろうとすると、愛知からきたちょっとトボけたおじさまが、一緒に連れて行ってくれと言う。
ここから先は、四人旅となった。

急な上り坂を進むと、ドーンとそびえ立つ塔の上に毘沙門天の像が立っていた。
真っ青な晴天の空に、巨大な毘沙門天が凛々しく立っているのだ。
四人で口を開けて見上げる。
塔内の螺旋階段を上り、毘沙門天の足元で景色を眺める。
360度ぐるりと回って伊予三島やこれから向かう香川県が見渡せた。
ベンチに座り、持っていた帽子パンを景色を見ながら四人で食べ考える。
あれは幽霊だったのかなぁ、、、。
でも、ザックを持った幽霊などいるのだろうか、、、。
それより、今夜は何処に宿を取ろうか、、、。

雲辺寺を登頂した後、徳島に会いに行きたい人がいたので、宿をまったく決めていなかった。
難所を先にやっつけ、一日予定を空けゆっくりしようと考えていたが、その方は明日はダメみたいで暇になってしまったのだ。
二日後には夫が遍路体験に来るので、合流する宿から先には進めない。
とりあえず今夜は皆が泊まるかんぽの宿観音寺荘に予約をし、四人揃って次の札所へ向けて出発することにした。




 
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6時半、いよいよアタック開始だ!

6時半、いよいよアタック開始だ!


草むらの道から古い丸太の階段を上がると車道に出る。そしてこのコンクリートの坂を上ると高速道路の上に出るのだ。

草むらの道から古い丸太の階段を上がると車道に出る。そしてこのコンクリートの坂を上ると高速道路の上に出るのだ。


高速道路から更にどんどん登っていくと、遍路道はいつしか木の生い茂る山道となる。

高速道路から更にどんどん登っていくと、遍路道はいつしか木の生い茂る山道となる。


車のホイールキャップかな?変わった遍路標識。

車のホイールキャップかな?変わった遍路標識。


倒木も多い山道。この先から薄暗く深い山道へと入って行かなければならない。

倒木も多い山道。この先から薄暗く深い山道へと入って行かなければならない。


ザックを置いた場所から直ぐ上がったところにある林道。ここからしばらく林道が続き、車道に出た先からまた山道へと遍路道は進む。

ザックを置いた場所から直ぐ上がったところにある林道。ここからしばらく林道が続き、車道に出た先からまた山道へと遍路道は進む。


車道から山道へ入る東京の優しい男性。ここからの山道は整備されていて歩きやすい。

車道から山道へ入る東京の優しい男性。ここからの山道は整備されていて歩きやすい。


いよいよ雲辺寺が見えてきた。ここへ辿り着いた時、お腹が痛くなり山門近くのおトイレへ向けて小走りとなる。

いよいよ雲辺寺が見えてきた。ここへ辿り着いた時、お腹が痛くなり山門近くのおトイレへ向けて小走りとなる。


真新しい山門、おトイレはこの右にあります。念のため。

真新しい山門、おトイレはこの右にあります。念のため。


雲辺寺には「おたのみなす」がたくさんある。

雲辺寺には「おたのみなす」がたくさんある。


このおたのみなすに腰掛けて、お頼みするのだ。

このおたのみなすに腰掛けて、お頼みするのだ。


本堂でハートみ?つけた!

本堂でハートみ?つけた!


手や口を浄めるところに、手が可愛い龍がいたので、金剛杖を持たせて写真を撮ろうとしたら、ダンディ水谷さんが邪魔をする。

手や口を浄めるところに、手が可愛い龍がいたので、金剛杖を持たせて写真を撮ろうとしたら、ダンディ水谷さんが邪魔をする。


毘沙門天の塔に潜入!

毘沙門天の塔に潜入!


立派な毘沙門天像は圧巻だった。

立派な毘沙門天像は圧巻だった。


県境 標高1000 なんて区切りが良いのだろう。

県境 標高1000 なんて区切りが良いのだろう。


帽子パン越しに見る絶景。帽子パン♪帽子パン♪

帽子パン越しに見る絶景。帽子パン♪帽子パン♪

に? 2014年06月20日 コメントNO:1327

初めてコメントお邪魔します(^^)
涙が出そうになったり冷や汗が出そうになったりしながら読ませて頂きました(^^)
私も車でですが、初めてのお遍路(^^)後4ヶ寺で結願です(o^^o)
いつかは、歩きでお遍路したい(^^)

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うさぎ 2014年06月21日 コメントNO:1330

に?さん

はじめまして、に?さん。
コメントありがとうございます。
また、長い日記を読んでいただき、汗もかいてくださり、更にありがとうございますm(_ _)m(笑)

あと4ケ寺なんですね!
もう少しで結願だと思うと、早く打ちたい気持ちと、もう終わってしまう淋しい気持ちが混合している時では?
今回結願しましたら、ぜひ次回は歩き遍路に出てみてくださいね。
きっと、きっと、不思議な出会いや、不思議な道が、に?さんを待っていますよ。
結願、応援しています!頑張ってください*\\(^o^)/*

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うさぎ 2014年06月21日 コメントNO:1331

あきゆみさん

こんばんは、あきゆみさん。
こちらこそ、いつもコメントありがとうございます。
今日もお仕事お疲れ様でした。

雲辺寺では、大変なところに遭遇されたのですね。
奥様の止血の応急手当はすごく適切な措置でしたね。
額の傷はなかなか血が止まらないようですし。
私なら、そんな緊急な場面に出くわすと、気が動転してしまいそうです。

今週末もイベント満載のようですね。
張り切って、頑張ってきてください(笑)

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大阪の父さん 2014年06月21日 コメントNO:1335

うさぎさんへ
ときどきお昼寝しながら 仲良く亀さんとゴールしてくださいね
歳をとると 字を読むのが億劫になりますが 写真が沢山あるので
楽しませて貰っています

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玄田 2014年06月23日 コメントNO:1338

うさぎさん(?^?^)ノo゚。*こんにちわぁ~*。

増田のお母さんに、菅笠や白衣をいじりながら、気を付けて行くのよ・・・
ドラマだ、目に浮かぶなー(´;ω;`)

工エエェェ(´д`)ェェエエ工 朝からかい、怖がらなくても、良いんでないの、今治の手前の霊園とかで、お大師様と一緒に挨拶してたんじゃないのかな、
うさぎさんがしっかり歩いてるか見に、こらたのだと思うな、もっと気持ちをずなく持って、気にしない、気にしない、

私も、体験したいです、体験したくとも、普通は無い訳で、貴重な体験じゃない、札所では、心をこめて読経してるんだよね、少し仏様に近づけた感じで良かったんじゃない。

毘沙門天ずねーな、高い所でおやつ、良いなー。
帽子パン、どんなパンですか?食べたことないよー(;>_<;)

先週末は、連休でした、土曜は買い物で、仙台近くまで都会に出かけました、
売って無かった、アイスクリーン(T_T)
昨日は、梅雨空の下、ゴロゴロのんびり、今日から又、元気に仕事してまーす。(*´∀`*)

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うさぎ 2014年06月24日 コメントNO:1339

大阪の父さん さん

日記が長くてすみません。
自分でも簡潔に書きたいのですが、ダラダラとした文章になってしまいます、、、ぐすん。
写真、たくさん撮ってきましたので、なるべく写真を載せるようにしますね。
読みづらい文章で、恐縮ですm(_ _)m気が向いたら、読んでくださいね。

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うさぎ 2014年06月24日 コメントNO:1340

玄田さん

こんにちは、玄田さん。
可愛い絵文字でのコメント、ありがとうございます。
幽霊は怖いです((((;゚Д゚)))))))
だって、、、幽霊ですよ、幽霊。
でも今回の老夫婦は、不思議の部類に入る体験でした。
未だに、何だったのだろうか、何かのメッセージだったのかと、考えます。

さて、帽子パンですが、頭の部分はカステラっぽくて、ツバの部分はクッキーのような感じでした。
高知から香川にかけてよく見かけましたよ。
中には、帽子パンのツバの部分だけ売っているコンビニがあったのには笑いました。
一度ご賞味あれ?(^○^)

週末は、都会に行ったり、ゴロゴロしたりと、休日を満喫されたようですね。
昨日からまたお仕事ですね。
一週間、頑張ってください!!
私は、梅雨の晴れ間に洗濯頑張ります!

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