作成日:2014年06月13日 訪問日:2014年04月21日
60番札所 石鈇山横峰寺
午前4時半、起床。
午前6時、緊張気味に朝食の席に着く。
今日は、難所の横峰寺。
登山が苦手な私には、正に難所であり、不安は隠せない。
天気予報は雨、しかし窓の外を見るとパラパラと降っているだけで、何とかポンチョ無しで出発出来そうな空模様である。
さて、前回の日記で書いた「秘技」をご説明しよう。
お世話になった栄屋旅館さんでは、翌日の宿をビジネス旅館小松さんにすると、荷物を宿までお接待してくださるのだ。
ビジネス旅館小松さんは、横峰を降りた伊予小松駅近くにある宿だ。
つまり、空荷で横峰に登る事が出来る。
朝食の際、女将さんが「小松さんに泊まる方は荷物お接待しますよ。」
と皆に声をかけた。
すかさず手を真っ直ぐ挙げ「はーい!はーい!お願いしまーす!」とアピールする私の横で、ダンディ水谷さんも高らかに手を上げてアピール。皆、承知でこの宿に泊まっているようだ。
部屋に戻り、持っていくザックにお軸、納経道具、カッパ、お菓子だけ入れた。
折りたたみの手提げ袋に、その他の荷物を詰め込んで、女将さんにお願いしたのだ。
軽?いザックは担ぐとまったく重さを感じさせない。
これは極楽だ、今日は行けそうな気がするぅ?、、、古いかな?
午前6時半、出発。
微かに雨は降っているが、カッパは要らない程度。
静かな商店街を抜け、県道147に出ると遥か前方に山々が見えた。
一番奥の霞んでいる高い山が、難所横峰山だ。その向こうには石鎚山があるようだ。
遠い、、、前回も思ったが、あんなに遠くの山を今日中に越えて行くのだから、遍路は凄い。
石鎚橋を渡り、国道11に出たところにあるファミリーマートで昼食を調達した。
ふと気付くとダンディ水谷さんが居ない。
東京の優しい男性と探すが、見当たらないので、東京の男性がダンディ水谷さんの昼食と飲み物を買って持つ事にした。
いざお店を出ると、店のベンチにダンディ水谷さんの金剛杖と菅笠が!
おトイレだった。
三人でいざ出発!
ここからは6キロほどアスファルトの車道をひたすら上がる。
これが結構つらい。
登山口に辿り着くまでにすっかり疲れ果ててしまうのだ。
周りの景色を見ながら、地元の名産品の話なども交えてワイワイと歩き続けた。
午前8時45分、登山口にある東屋に到着した。
ここが最後のトイレ休憩になるので、各自おトイレを済ませて休憩する。
ここで、修行が足りない私は生意気な口をきいてしまう事件があった。
ダンディ水谷さんが、納経帳だけ入ったさんや袋を東京の男性に持ってくれと言い出した。
東京の男性のザックには、既にダンディ水谷さんの昼食やお茶が入っている。
それだけでもありがたいと思うべきだが、更に甘えて手ぶらになろうとしているのだ。
同じ歩き遍路、怪我をしているわけでもなく、病気で歩けないわけでもない。
それなのに、、、そう思うと言わずにはいられなかった。
「同じ歩き遍路なんだから、さんや袋くらい自分で持ったらどうですか。お昼ご飯だって、飲み物だって持って貰ってるじゃないですか。あんまりです!」
鼻息荒く言うものだから、東京の優しい男性が、
「僕は大丈夫、持ちますよ。」
と言いながら、ザックに受け取ったさんや袋を入れ始めた。
甘い、甘すぎる。
「彼は僕の頼みは断らないから?」タバコをふかしながら、呑気な事まで言う始末だ。
宿から荷物を送り、身軽なはずなのに、、、許せん!
「何甘えてるんですか、情けない。同じ歩き遍路なんですよ、酷過ぎます!」
するとダンディ水谷さんがキレた。
「やっぱり自分でもつ!返して!プライドが傷付いた、返して!」
と渡したさんや袋を取り戻そうとした。
そんな姿を見て、私もキレた。
「そんなちっぽけなプライドなんて、無い方がマシです!!」
そう言い残し、午前9時先に登山口へ入った。
余りにも、酷い。
ちょっとした事なのだろうけど、馴れ合いになり甘え過ぎていると思った。
胸にモヤモヤしたものを抱えながら、急な山道を黙々と登った。
頭に血が上ると急な登りも何てことはなかった。
直ぐ後ろから東京の優しい男性が続くが、ダンディ水谷さんは来なかった。
登りながら、頭を冷やす。
私は短気だ。
理不尽なことに直ぐカッとなる。
登れば登るほど汗をかくせいか、頭が段々冷やされてきた。
やっぱり言い過ぎた。
歳上の方に対してなんて口のききかただろう、、、後悔と後味の悪さだけが残った。
東京の優しい男性は、僕は大丈夫だから、もう怒らないでと言う。
私も、ダンディ水谷さんも、子供過ぎた。お二人に申し訳なく思った。
反省しながら登り続けていると、前方から女性が降りてきた。
その光景は二年前に見た事のある不思議な光景だった。
そして女性との距離が近くなった瞬間、お互いにハッとする。
お互い同時に
「こんにちは、会ったことありますよね?」
やっぱりそうだ、二年前に会った方だった。
キャーキャー久しぶり?
二人で握手して再会を喜んだ。
女性は地元の方、週に数回横峰に登っている。
今日は朝から天気が悪く、いつもなら登らない天候だった。しかし何故だか登った方がいいような気持ちになり来たと話す。
虫の知らせという事だったのかと、再会をとても喜んでくださった。
横峰はシャクナゲが綺麗で五月の終わりに見頃を迎えるそうだ。
「シャクナゲの花をあなたにも見て欲しかった。」
そうおっしゃってくださり、納札を渡すと、シャクナゲの写真を送りますと言ってくださった。
結願し六月に入った頃、この女性から満開に咲き誇るシャクナゲの写真が送られてきた。
横峰の境内に咲き誇るシャクナゲ。
とても素晴らしい写真をありがとうございました。
そして添えられていた手紙には、「あなたには、またきっと会える気がします。」
そう書いてあった。
もしかして、私は三回目の歩き遍路をするという予知なのか!?
女性と別れ、丸太の階段をしばらく登ると山門が姿を現した。
雨に降られることなく、午前10時ちょうど横峰寺に到着したのだ。
全身汗だくになりながら、最後の本堂に向かう階段を上がる。
心を落ち着かせ、お参りをした。
大師堂では、先ほどの女性の無病息災を祈願し、ダンディ水谷さんとの事をお大師様に聞いていただいた。
納経を済ませ、すぐ近くの休憩所でお昼ごはんにすることにした。
遅れてダンディ水谷さんも到着し、三人でランチタイム。
食後、ダンディ水谷さんが
「プライドを捨てたら何だか楽になったよ?。」
ションボリしながら、そう言って話し掛けてきた。
何だか切なくなってきて、ヨシヨシと言いながらダンディ水谷さんの頭を撫でた。
とても可愛いおじさまだ。
子供のようなところもあり、大人なところもある。無邪気な人で、憎めない。
「さぁ、元気出して行きましょう!ねっ。」
ダンディ水谷さんと私は似ているのかも知れない。
自分の姿を重ねて、自分自身に苛立ってしまったような気がしてならなかった。
40代と60代の何だか分からない喧嘩?は終わった。
また三人でワイワイ言いながら歩き出す。
こうして難所横峰寺アタックは、いつの間にか終わっていたのだ。
石鎚橋の遥か前方に横峰山が見える。雲で見えないが、その向こうに石鎚山があるようだ、、、見えないけど。
横峰と言う文字が出始める。近づく難所にちょっと緊張する。
山道には桜の花びらがたくさん散っていた。踏むのがもったいないくらい綺麗だった。
頭に血が上ったまま登り続け、冷めて反省した頃山門に到着した。いろいろ考え事をしていたため、登山の苦しさはほとんど無かったのだ。
この日のランチ。
正面がシャクナゲ。満開になるとピンクに染まるのだ。
新品だった靴の縫製が、、、トレッキング用のタフな靴だか、毎日雨の日も休むこと無く履き続けているからね。何とか最後まで私を連れて行って欲しい。
この種類の桜はまた咲いていた。ちょうど満開ですごくキレイでした。
あきゆみさん
こんにちは!
新潟からコメントありがとうございます!
長旅、乗り換えで疲れていませんか?
梅雨には珍しく、東海地方は連日カラリとした晴天で気持ちの良い日が続いています。
お孫さん、来週なんですね。
安産、お祈りしています!*\\(^o^)/*
満願は、梅雨明けしたら行ってきますね。
頑張れ妊婦さん!←娘さん
頑張れおじいちゃん!!←あきゆみさん
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うさぎさん、こんにちは。
秘技、2回目ですからね、技術を習得したのですね、
前回は、辻さんが来てくれましたね、今回は同じお宿で、、、こう言う事でしたか(*´∀`*)
情報てすごく大事ね、仙遊寺で宿泊してたら、日程状無駄が出たりするんですね。
妙雲寺辺りから、一人で歩いたらあきるね、同じ感じの山道で、3人で歩けて良かったね。
荷物事件ですか、
仲良しだから、腹もたつんだね、読んでて思いましたが、ダンディさんは、素直に生きようとしてる、素直な男性そのもの、すごくいいです、
世の男性は子供の頃の素直さを持っていたいものですよ、お遍路は、心の旅、自分に正直に成れる旅なんでしょうね。
やっぱ、一番いい時期に歩いてますね、又々桜綺麗ですね、しゃくなげの満開でピンクに染まる・・・見たいなー、無理だなー(o ̄∇ ̄o)♪
読み手に、配慮して、一気に出さなかったのですね、有難うございます、これも秘技だね(笑)
こちら東北南部も、梅雨何処かに、いつちゃつたー、
我が家の、犬も猫も一気に暑く成って、ぐったり、ハアハア言ってます。
只今打ち回ってる皆様、暑さに負けないで( o≧д≦)oガンバレー!!
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玄田さん
こんにちは、玄田さん。
荷物のお接待は、本当にありがたいです。
特に雨の日と山登りの日。
荷物は軽いに限りますが、なんせ欲深いものだから、、、σ(^_^;)股関節に響きます。
ダンディ水谷さんと今回長く旅をしてみて、私も凄く素直な方だと思いました。
偉そぶる人が多い世の中、素敵な存在です。
子供のように怒る私に、同じ目線で付き合ってくださる。
玄田さんのおっしゃる通り、仲が良いから腹も立つのかも。
私の遍路旅では、なくてはならない重要人物です。たくさん助けられましたもの。とても感謝しています。
横峰寺のシャクナゲはかなり有名みたいで、横峰寺に売っている手ぬぐいにもピンクのシャクナゲが描かれています。私は何故か4枚も持っているんですよ(笑)
日記、秘技ではないんです(笑)
最近作成中のものを公開せずに保存できる機能ができたので、三回分の日記を簡単にメモだけして作成中にしたんですが、それを翌日に完成しても、最初の作成中の日付でしか公開出来なくて、、、。
そちらも晴天で暑くなっているようですね。
ワンちゃん、ネコちゃんが居るんですねー!私も動物だーい好きなんです!
遍路で見かけた猫をよく追いかけていました。実家にもオッドアイの白猫がいます。
でも四国は野犬が多くて、ワンちゃんだけはちょっと怖かったです。
梅雨の季節、四国では今この時も巡礼されている人達が居るのですよね。暑さ、雨、大変ですが、みなさん頑張ってくださーい!
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