納経所恐怖症

うさぎさんのお遍路道中記

作成日：2014年04月13日 訪問日：2014年04月01日
35番札所 医王山清滝寺

種間寺を出て、田んぼの長閑な道や、住宅街を歩き、高架をくぐって土手を登ると、なが?い仁淀川大橋を渡ります。
この大きな橋を渡ると、だんだん住宅や商店が多くなり、大型店や全国チェーン店が見え始めます。
高岡の町、久しぶりの大きな町に入ったのです。
遍路道には、大好きなドラッグストアやコンビニ、マクドナルドに、極め付けはモスバーガーがあるのです。
大きな町に入って、興奮冷めやらぬ私。
もう我慢の限界です！
ダンディ水谷さんに休憩の催促開始。
「疲れませんか？
タバコ休憩はいいですか？
コーヒーは飲みたくないですか？
私はモスバーガーが食べたいんです！！」
渾身の力を込めて水谷さんを眼力でモスバーガーに誘導です。
もちろん、朝ごはんはしっかり宿で食べました。
時刻は午前９半、食後三時間しか経っていません。
それが何か？いえいえ、問題ありません。
店内に入ると笑顔の店員さん以上の笑顔でモスチーズバーガーを注文。
久しぶりのハンバーガー、それはそれは美味しかったのです。

満腹になり再び歩き出します。
気分は爽快、お腹も爽快。
途中、タクシー会社さんのご好意により、荷物を預かってくださるというお接待がありました。
清瀧寺は高い位置にあり、登り坂も大変ですが、打ち戻るため、こちらのタクシー会社さんで荷物を預かっていただくと、とても楽チンなのです。
既に先行している歩き遍路さんのザックが四つ置いてありました。
身軽になり、軽快に坂道を登ります。
時刻は午前１０時５０分、３５番札所清瀧寺に到着です。
山門から更に急な階段を登りきると、歩き遍路さんがワラワラいました。
景色も良く、今日は爽やかなお天気です。
お参りを済ませ、緊張気味に納経所に行くと、すんなり納経が終わりホッとして納経帳をカバンに入れていると、後ろから
「あんた、白衣の朱印には全部に新聞紙を当てないと、汚れるぞ！」
と見知らぬおじさんに指摘されました。
押したばかりの朱印にだけ、新聞紙を当てていたのです。
「私ったら何も知らず、、、。」
と、私がおじさんの言われるがままオロオロし、おじさんが立ち去った後、肩を落としていると、納経所の方が
「良ければ新聞紙使ってください。
確かに、朱印が白地についてしまうことはあるけど、朱印で汚れると言うのは違いますよ。
お参りされて、その証に押す朱印ですから、ありがたい朱印なんです。
例えそれが白地についても、ありがたいものですから、汚れるものでは無いと、私は思います。」
なっ、なんと言う素晴らしいお言葉！
思わず納得と、感動です。
そう言い、笑いながら納経所の方は
「あとは個人の問題ですからね、朱印が他のところにつくのが嫌だと言うなら、あの人が言うように、新聞紙を念入りに挟んでくださいね。」
全てを否定するわけではなく、個人の思うように、お参りをして、御朱印をいただけばよいのだと、おっしゃる気の使いぶりは素晴らしい。
この納経所の方の人柄が、お寺全体を表しているようで、素晴らしいお寺なのだと思いました。
納経所では、納経帳やお軸を閉じたまま出すか、開いて出すか、作法がお寺毎に違い、中には怒るような口調でおっしゃる方も居ます。
私のような素人にも、このように大きなお心とお言葉で、対応してくださると、安心してお寺を回る事が出来るのになぁ、、、と思いながら一礼し、納経所を後にしました。

ダンディ水谷さんの待つベンチに戻ると、納経が長かったと言われました。
気を取り直し、明日からの宿の予約をすることにしました。
今回は1200年と遍路繁忙期が重なり、宿の予約に苦労します。

大橋を渡って川沿いを歩きます。この先には久しぶりのモスバーガーが！

お久しぶりです、ハンバーガーさん。

札所へ上がるコンクリートの坂道。

やっと山門が。でもまだまだ階段は続きます。

まだまだ、どんどん、それそれ?！をつぶやきながら登りました。

納経所からの景色。見晴らしが良い分、登って来たという証。