作成日:2014年02月05日 訪問日:2012年09月19日
61番札所 栴檀山香園寺
昼食を終え、また身軽に歩き出す。
横峰寺を出発すると道はアスファルトの車道がしばらく続いた。
1キロほど下ると遍路シールは左の山道へと続いている。
その山道へ入る小さな階段を下りようとした時、階段の下に蛇の姿が見えた。
よく見ると頭は三角。これはもしや、世に名高い「マムシ」なのかも。
狭い山道をふさぐように横たわっているで困ってしまう。
金剛杖でよける勇気もなく、しばらく通り過ぎるのを待つことにした。
以前出会ったおじいちゃんが「マムシは飛んで襲ってくることがある」と言っていた。
どれくらい飛ぶのか聞くと、1メートルや2メートルは飛んで来るそうだ。
もしもこの先マムシに出会ったらどうすればいいか問うと、おじいちゃんは「マムシより高く飛べばいい」と言ったのを思い出した。
かなり脚力を鍛えなくてはマムシには勝てないだろう。
じっと待つこと10分、マムシは動き出す。よく見ると頭のところと、背中が薄っすら赤いように見える。
友人からちょうどメールが来ていたので、返信にマムシの写真を添付してみた。
すると彼女からの返事には「それ、赤マムシだね」。
なるほど、これが赤マムシなのか。そう納得して赤マムシが去っていくのを見守り急いで先に進むことにした。
山道をどんどん下る。時折山が開けて明るくなる箇所があり、足を止めて景色を眺めて、また歩く。歩きながら、赤マムシのことを考える。
あれ?赤マムシって栄養ドリンクの名前じゃなかったっけ?
本当に赤マムシって名前なのかなぁ、考えながら可笑しくなって笑いながら歩いた。
道はどんどん下り、こんなに登って来たんだと改めて横峰の高さを実感した。
午後1時、5.3キロポイントの東屋を通過し、午後1時35分辻さんと待ち合わせの白滝奥の院に到着した。
おトイレを借り、水分補給をして一息つく。
辻さんがまだ来ないのでお参りを済ませて待つことにした。
程なくして辻さんが現れた。
次の待ち合わせは香園寺の駐車場。
ここからはアスファルトの道を歩く。少し日が落ちるのが早くなってきたように感じながら長閑で平坦な道を進む。
大谷池を通過し歩いていると前方から辻さんが歩いて迎えに来てくださった。
二人並び、遍路シールに従いしばらく歩いていると、高鴨神社に出た。
なかなか立派な神社で、境内は綺麗に清掃されている。
鳥居をくぐり、石の階段を下りる。
細道をしばらく歩くと61番札所香園寺に到着した。
香園寺は今まで見てきたお寺とはまったく違い、近代的な建物で、なんだか博物館や美術館みたいだった。
おまけに敷地もかなり広い。
ここで辻さんから提案があり、今夜の宿であるビジネス旅館小松さんにザックを預け、また香園寺へ戻ってからお参りし、次の札所へ向かった方がいいと言う。
実は次の札所では納経時間が短いそうだ。それは知らなかった。
車に乗り、宿に荷物を預け再び香園寺へ舞い戻る。
辻さんに着いて本堂の入り口へ向かう。一人だとすぐには分からなかっただろう。
正面左手にある階段から中へ入ると、これまた立派なご本尊様の大日如来像が祭られていた。
絢爛豪華なそのお姿にびっくり。しばらく見学することにした。
ここでも辻さんに続いてお経を唱えさせていただいた。
納経を済ませると時刻は午後3時を過ぎたところだった。
本日のお大師様である辻さんにお礼を伝えると、二日後の雲辺寺アタック前日の夕方から翌日雲辺寺アタック当日まで、またまた応援に来てくださるとお接待を申し出てくださったのだ。
ここまでしていただくと、本当に申し訳なく、何だか悪いような気もしたが、私の体調を心配してくださっているのがよくわかっていたので、甘えてお願いすることにした。
お別れを言い、辻さんの車が走り去るのを見送った。
ザックは宿に置いてあるため、身軽なまままた歩き出す。
夕暮れになりつつある空は薄っすらと赤く染まり、とても綺麗だった。
逃げていくマムシらしき蛇。道いっぱいにビローンと伸びていた。
横峰の下り山中、景色の良いところが数か所あった。
香園寺 広い境内に近代的な建物。
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