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孤独な遍路旅

うさぎさんのお遍路道中記

作成日:2011年09月27日 訪問日:2011年09月26日
34番札所 本尾山種間寺


三十三番札所から一本道の県道278を歩く。
2キロほど歩いたところから遍路道へそれ、民家の間を通り、田んぼ道へ進む。のどかな景色を満喫だ。

しかし、休憩するところも、食事をするところもない。
そして、誰にも会わない。
ただひたすら黙々と歩くのだ。
無になって歩く。
これが本来の遍路姿なのかも…なんて考えていると、犬のう○こが目に付く。
無数に落ちている。野犬かもしれない、怖い。
徳島でもたくさん落ちていた。
ここ、高知でも行く先々で点在していた。
よく見ると、カエルの死骸も点在している。日からびたものがほとんどだ。

どっちが多いか数えてみた。
カエルの死骸が圧勝だった。田んぼだらけだから、当たり前かもしれない。
アホなことを考えてばかりいてはダメだ。
真剣に歩かなければ。

傘をさしている手が疲れて痛くなってきた。雨で靴の中に水が入り気持ち悪い。
朝ごはんはしっかり食べたけど、お腹がグーグーだ。
邪念ばかり入って、全然修行にならない。

そうこうしている内に、三十四番札所に到着してしまった。
お寺に入ろうとすると、門前の休憩所から一人のおじいちゃんが私を呼ぶ。
近づいみると、美味しいどら焼をお接待してくださるという。
もうお腹はペコペコだ。
ありがたくいただくことにした。
おじいちゃんは『ここの手作りどら焼は美味しいけん、しょっちゅう食べる』といいながら自動販売機の前に立ち、ボタンを押す。
ガタゴト、どら焼が出てきた。その他にもお菓子や賞味期限の長いパンなんかもある自動販売機である。
どこかで焼いているのかと思ったが、違うようだ。
手渡してくださったどら焼は大きくずっしりだ。
牛乳を買い、いただくことにした。
とても美味しくお腹にたまる。ふと、製造元を見ると愛知県春日井市と書いてあった。私が住んでいる同じ県である。世間は狭い、そう感じた。
おじいちゃんは、私が美味しそうに食べているのを見て、満足気に笑う。
歳を聞かれたので、納札を渡すと、書いてある年齢を見てびっくりしていた。
たまに若く見られことがあるので、おじいちゃんが驚いたのだと思った。
しかし、『わしんとこの娘と同じくらいかと思った』という。恐る恐る年齢を聞いてみると、なんと56歳…おじいちゃん、こっちがおったまげるよ~。
ひどーい、ひどーい、なのだ。
そんなに疲れた顔していたのかなぁ、と自分が怖くなる。
確実に来る、老い。大師様に不老長寿の薬をお願いしたいくらいだ。

お腹もいっぱいになり、おじいちゃんにお礼を言いお寺に入った。

車遍路さんがチラホラいるだけで、静かなお寺だ。
敷地が広く、所々が真新しい。
本堂、大師堂で、先ほどのおじいちゃんの無病息災を祈願した。

時刻は午後11時55分、雨が止んでいた。

 
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