嬉しい手紙

うさぎさんのお遍路道中記

作成日：2011年09月03日 訪問日：2011年08月27日
22番札所 白水山平等寺

伊吹ご夫婦とお別れをし、三人で歩きだす。
お昼の時間をとっくに過ぎていたので、お腹はペコペコだ。２キロ先に道の駅わじきがあったので、ランチタイムをすることにした。
不良遍路さんはカレー、私はおでんと大好きないちごミルクかき氷。ソンちゃんは持っていたおにぎりを食べる。
かき氷は夏の必須アイテム、たべられるポイントが少ないので、あったら頂くように決めていた。全身汗をかいて冷房の中に入ったため、体温が奪われ寒い。
せっかくのかき氷が寒気がして半分しか食べれなかった。カレーを食べていた不良遍路さんの横に、食べ掛けのかき氷をスーッとずらして置いてみた。
苦笑いしながら残りを全部食べてくださった。もうみんな家族だ。
一つのみかんを皆で仲良くわけあう。そんな温かな関係が出来ていた…そう思うのは私だけかも。
お腹が満たされ、また元気に歩きだす。
元の道に戻り、再びお遍路マークを探しながら山道へと足を進めた。
古くてちょっぴりじめじめした神社を通り抜け、田んぼ道を行く。すでに稲刈りが始まっていて、家族総出で作業をしていた。
竹林を抜け、葉っぱの降り積もった山道を進む。大根峠の途中、大きな倒木が道を塞いでいた。一人ずつ跨いで進む。ソンちゃんが先達、私、不良遍路さんが続いた。
何だか牛の匂いがしてきた。放牧された牛が２頭、青々した草をはんでいた。和な風景が続く。
３キロほど山道を歩くと民家が見えてきた。しばらくぶりのアスファルトの道を三人横並びでおしゃべりしながら歩く。まるでＧメン７５のようだ。（古い？）
午後４時、二十二番札所に到着。
今日の最終目的地である。今夜泊まる宿はお寺のすぐ横。ゆっくりお参りすることにした。
本堂へ行き、ゆっくりお経を唱える。大師堂では、伊吹ご夫婦の健康と、これからの旅路が幸多きよう念入りにお願いさせていただいた。
納経所へ行くと、私を見た係の方が「名古屋から来た方ですか？」と聞く。
ものすごくビックリした。お大師様もすごいが、この納経所の係の女性は千里眼を持っているらしい。
「はい、そうですが…」と顔が引きつりそうになりながら返事をすると、一通の手紙を渡してくださった。
開いてみると、お遍路となった初めての夜、宿でご一緒させていただいた車お遍路さんご夫妻からの手紙だった。
『一人旅をされているあなたの事が気になって仕方がありません。元気に歩いてますか？辛い思いはしていませんか？ごはんはちゃんと食べてますか？身体は大丈夫ですか？』温かな手紙に涙が滲んで最後まで読むことが出来なかった。
ご夫妻は２日前にこの札所に到着、その日以降札所の係の方は私が着くのを毎日待っていてくださったのだ。
こんな優しい人達に守られて旅をしている私は、とても幸せ者だと思った。
嬉しくて二人に手紙を見せに走った。二人は一緒になって喜んでくれ、三人で「すごいねー、すごいねー」と笑い合った。
手紙を大切にお財布の中にしまって御守りにした。

宿に着き部屋に案内されると、私とソンちゃんの相部屋は舞台付きの宴会場だった。今夜は夜通し宴会といきたいところだが、明日は早朝出発するため、宴会はお預けである。
明日はいよいよ、ソンちゃんと不良遍路さんが四国を離れる日となる。
二十三番札所近くの駅から10時45分発徳島行きに乗らなければ、ソンちゃんが韓国へ帰れないのだ。
明日の行程を夕食時に打ち合わせすることにした。

不良遍路さんが行く

境内にて