作成日:2011年08月24日 訪問日:2011年08月23日
9番札所 正覚山法輪寺
八番札所から舗装され田んぼに囲まれた道をしばらく進む。稲穂の頭が垂れ、その上をかすめるように燕が飛び交う。虫を捕まえているのかな。そういえば朝は稲穂の上を無数の赤トンボが飛んでいた。もう秋だ。
しかし、暑い。白装束はベタベタ。どれだけ水分を摂ってもみんな汗になって流れていく。
民家の狭い道に入ると車と擦れ違うのに恐怖を感じる。結構な勢いで車が通過しているのだ。
よたよた歩くわけにはいかない。車の気配を感じては、道の端に身体を寄せ動きを止めて待つ。また歩き出しては止めて待つ、の繰り返し。
そうこうしていると前方から来た車が私の横で止まった。そして、なんと!なんと!私に道を尋ねるではないか。
八番札所への行き方を聞かれ、胸を張って教えて差し上げた。私を選ぶなんてかなりの目利きに違いない。
お礼を言われて嬉しくなった。少しだけ同じお遍路さんの役に立てたのだ。
さぁ、私も頑張って進まねば。
歩くこと一時間弱、九番札所へ到着した。
門のすぐ内側に絵を描いて売っているおじさんがいた。お地蔵様や如来様など綺麗な絵だ。
中に入ると若い男性、女性の六人組が上手なお経を唱えていた。先頭で鈴を鳴らしている男性はもしかしたらお坊様なのかもしれない。その人のお経に合わせて合唱していた。
私も自分のペースでお経を唱え始めるが、六人組のお経に耳が奪われ間違えまくる。まだまだ修行が足りないと反省。
お参りを一通り終え、新しい建物にある納経所へ行く。中は冷房が効いていて涼しく快適だ。文明の力とは恐ろしい。先に六人組がご朱印を頂いていたので暫く涼んで待っていた。
六人組、ご朱印を終えると納経帳を掲げ、納経所のおばさんと記念撮影を始めた。若いって楽しく素晴らしくエネルギッシュだ。
つい私も皆に混じって笑ってしまった。
ここは、ご朱印の受付は3人の係の方が行っていた。皆さん優しい感じの女性ばかりだ。
ご朱印を頂き、門を出ようとしたら、あの六人組が門前で記念写真を撮っていた。
一人の女性が「さっきは騒がしくてスミマセンでした」と声を掛けてきた。私も楽しませて貰ったと言うと皆笑っていた。
お互いの旅の無事を祈りお別れをした。
あ~若いって素晴らしい。私も若い頃にお遍路という修行に出ていたら人生少しは変わっていたかもしれない…そう思った。しかし後ろは振り返ってはならない。前に前に進まなければ。
さぁ、いよいよ本日の最終札所十番へ向かう。
時刻は午後2時になるところだった。
法輪寺
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