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宿坊があるのね

うさぎさんのお遍路道中記

作成日:2011年08月23日 訪問日:2011年08月23日
6番札所 温泉山安楽寺


五番札所を出たすぐの宿で預けてあった重いザックを受け取り、女将さんにお礼を言う。
ザックを背負い菅笠をかぶろうとすると、女将さんが「あんたは女の子やから日焼けせんように顔に手拭い巻かないかん」と言いながら、私のタオルを顔にぐるぐる巻き直して菅笠をかぶせてくださった。
鏡で見ると、目だけ出してあとはタオルで全て覆われている怪しい姿になっていた。覆面レスラーならぬ覆面お遍路だ。
一応お礼を言い、宿を後にした。女将さんがずっと見送ったくださっていた。

少し歩いてみると、日が当たらないし、顔に蚊が寄って来ない。(前日両サイドのこめかみを蚊に刺された)
女将さんのタオル巻き技はなかなか優れものだ。素晴らしい。

時刻は午前8時半を過ぎていた。今日は十番まで打ちたいなぁ…と考えながら歩く。荷物が加わったせいか、足取りは断然重い。朝一番から挫けそうだ。
1キロほど歩いた所に商店があり、店先の自販機でお茶と大好きなコーヒーを買うことにした。お金を入れていると、店内から笑顔の女性が「ご苦労様、これ良かったら持って行ってください」と一口ドーナツの詰まった袋をお接待してくださった。店内に同じドーナツが売っていた。売り物をくださったのだ。とても嬉しかった。しかもコーヒーを飲む為の椅子も勧めてくださった。重ねて嬉しかった。
お礼を言ってまた歩き出す。人の優しさに触れると何故だか足取りが軽くなるようだ。心が軽くなるからだろうか。
杖のつき方もリズミカルになってきた。シャン(金剛杖の鈴の音)すたすた、シャンすたすた。このリズムに合わせて遍路道しるべに従いずんずん歩く。調子こいて歩いていると、橋の上で二回杖をついてしまった。お大師様に叱られる。
ハッと気付いて「お大師様ごめんなさ~い」と謝って逃げる。
ふと、ここで思った…道端にやけに犬のう○こがたくさん落ちている。飼い犬なら飼い主が片付けていくはず………まさか、野犬?
不安になってきた。噛み付かれたらどうしよう。
以降、う○こは点在し続けていた。
セミの死骸か犬のう○こ、どちらが多いか数えたが引き分けのようだ。
一時間半ほどで六番札所に到着。結構長い距離で疲れた感じ。
六番札所は田んぼ道と民家道を抜けた静かなお寺だった。
本堂、大師堂に続き大きな建物があり、玄関に宿坊の看板がでていた。
お遍路旅、一度は泊まっておつとめを経験してみたいものだけど、十二番札所の焼山寺の宿坊に予約電話を入れたら、9月からしか受け付けないと言われて機会を逃してしまった。
どこかでチャレンジしてみよう。
本堂に入ると昨夜ご一緒したご夫婦が帰るところだった。お別れを言ってお参りを続けた。奥様の屈託のない笑顔がまぶたに残って離れなかった。
納経所でご朱印を頂き、宿坊に熱い視線を流しながら、自販機でオロナミンCを買って飲んだ。ベンチに腰掛けてザックを下ろして休憩すると、肩が少し楽になった。重いザックのため右肩が悲鳴をあげている。
途中郵便局があったら少し送り返そうと心に誓った。
時刻は午前10時半、今日は長丁場なので先へ急ぐことにした。





 
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