素晴らしい出会い

うさぎさんのお遍路道中記

作成日：2011年08月26日 訪問日：2011年08月25日
13番札所 大栗山大日寺

宿は植村旅館さん、女将さんがとても優しく、お料理も美味しい。居心地のいい宿だ。
ここで今後のお遍路人生を変える出会いがあった。
初の相部屋は韓国からお遍路に来たソンちゃん。とても明るく、何より日本語が尋常じゃないくらい上手なのだ。おまけに同じ歳。嬉しい。
大阪から何度もお遍路をしているという、仲良し健脚伊吹さんご夫妻。伊吹のお父さん、奥様と呼ばせていただいた。
最後に宿に到着したのが、あの優しい男性だった。やはり縁があったことに驚いた。
この五人で過ごす楽しい夜となった。
伊吹のお父さん、奥様は海外行脚もしていて、その話はとても楽しくワクワク私を魅了した。
ソンちゃんもあちこち旅行しているらしい、何より焼山寺を難なく登頂している強者だ。
優しい男性は東京の北村さんという。お遍路さんなのに昼も夜もビールを飲むので、伊吹のお父さんから『不良遍路』という異名を付けられた。

起床は５時。まず朝食は摂らずに伊吹さんご夫婦とソンちゃんが十三番札所へ向け出発。
朝ご飯をいただいて、午前６時４０分私が出発。最後に健脚不良遍路が宿を後にした。
十三番札所で合流したい一心でハイペースを保ち、休憩は一時間に5分と決め歩く。鮎喰川沿いを10キロ少し歩かなければならない。
道には可愛いカカシが並び、目を楽しませてくれた。
鮎喰川は透き通る水を湛え、涼しげに流れている。暑くて泳ぎたい気持ちをぐっと押さえる。お遍路が白装束で泳いでいたら、みんなぶったまげること間違いなしだ。
足元には頭がオレンジ色した10センチ弱のムカデがあちこち這っていた。怖い。
少し歩くとコスモスが咲いている。花の色はオレンジだ。さっきのムカデを思い出して気持ち悪くなった。
ところが、またオレンジムカデがいたのでよく見ると毛虫だった。でもやっぱり気持ち悪い。虫は苦手だ。

行者野橋を渡って左に進むコースを通ると皆で示し合わせたのに…こんな大事な時に方向音痴センサーが作動。全然違う橋を渡り、道に迷うことになった。自信を持って違う道を行く自分が情けない限りだ。
かなり歩いたところで間違えた事に気付き気が遠くなる。
もとのルートに何とか修正したが、このロスは大きい。もう伊吹さんご夫婦やソンちゃんには会えない。
健脚不良遍路さんにも追い越されているだろう。
また一人遍路の孤独な旅が始まったのだ。

とぼとぼ歩く長い道のりの寂しさが身にしみた。人に出会えた喜びと、別れる切なさの差が大きいだけに寂しかった。そう、私は寂しがりやだ。
ビュンビュン通過する車に怯えながら何キロも何キロも歩く。
すると道沿いの民間からおじさんが走ってきて「お遍路さん、暑いからこれを持っていきなさい」と冷たい缶ジュースを二本持たせてくださった。
身体も気持ちも疲れきっていた私にとって、どれほどこの心のこもったお接待が嬉しかったことか。
涙が溢れ、周りの景色が滲んで見えなかった。
いただいたジュースを一本飲んでまた前に歩みを進めた。空き缶を握り締めたまま捨てれなかった。
拭っても拭っても、もう涙は止まらない。
泣きながらやっと十三番札所へ辿り着いた。するとソンちゃんが居るではないか。伊吹さんご夫婦にもまた巡り会えた。
ホッとした気持ちと先ほどのお接待のおじさんの優しさが交差して、とめどなく涙が流れた。
泣いている私を優しく３人が迎えてくれた。私の大好きな３人遍路さんだ。
鼻水をすすりながら、ダミ声で納経を済ませた。
時刻は午前９時４０分ころだったと思う。

 うさぎ 2018年06月29日 コメントNO:2354

不良遍路さん
大変ご無沙汰しています。
お元気でしたか？お仕事順調ですか？
こちらのポータルで見つけてくださり、ありがとうございます（笑）
コメントが入ったと連絡が来て、大変驚きました。
年月が経つのは早いもので、土佐一宮で別れてから７年。
あの時はご自分の予定を変更してまで、一緒に歩いてくれましたね（涙）うるうるしちゃいます、ありがとうございました。
６３番札所からは今年再開でしょうか？
また一緒に歩きたいなぁ、、、私はすっかり体力も落ち、一キロ歩くと息切れしています。
ビール修行はほどほどにして、是非とも遍路修行に出て日記アップしてくださいね！楽しみにしていますよ！
遍路出発の際は、今回のようにうさぎのコメント欄に連絡ください。直ぐにポータルを覗きます。

伊吹のお父さんは現在闘病中です。でも、時々体調を見て山登りに出掛けているようです。
私も頑張ります。